走りながら考える~人生は長いマラソンだな~

無理な背伸びはしなくていい。嫌いなこともしなくていい。できることを仕事にしよう。できないことは諦めろ。気が進まないことも断ろう。好きなことをやろう。今日が人生最後の一日でもOKなように。

学生時代に出会ったSというクソ野郎

1か月以上更新しておりませんでした。

なぜかアクセスだけは減らずに多くの方に読んでいただいているようです。

 

この1か月はせっかく契約したプールのあるスポーツ施設の21:30閉店に到底間に合わないくらいの仕事量で、ブログも疎遠になっておりました。土日も仕事も入るし、プライベートの予定も突っ込んでしまう結果、なんか忙しいです。

 

こちらは何の関係もない、プライベートで逃避した際の写真です。


f:id:qkp:20220606220123j:image

f:id:qkp:20220606220126j:image

 

今回は、V社との闘いとも、休職日記とも関係ないネタです。

 

 

就職活動をしていたころです。もう20年以上前です。

その頃は、大学生にありがちの大企業狙いで、いろんな会社にエントリーをしていました。中国での2年間の留学帰りだったし、大学受験も一度失敗して一浪してたので、就活年齢層は22歳、でも私は25歳でした。

「3年も遅れたら新卒採用で不利だよ」という、わかったかのようなコメントを吐く人が結構いたのですが、全くそんな不利なんて感じませんでした。逆に3年分の貫禄があったのがよかったのか?(中国留学2年の間に、中華料理を食いまくって10kg増量したのも追い風?)面接官のウケは悪くなく、結構順調でした。

 

ある会社から内定がでました。それが最初に就職したデンキメーカーでした(漢字で書くと、どの会社か見当がつくので、デンキ、とします)

日本人なら誰でも知っている会社です。仮にA社としておきます。イニシャルと会社名は無関係です。AIWAではありません(世代がバレる(^_^;)

 

入社が決まると、同じ大学出身の内定者とリクルーター(死語=同じ大学の先輩社員)との交流会も開かれます。そこで同じ大学の面々と複数知り合いました。同級生でも学部が違えば知らない顔も多い。そこに、いかにもモテそうな小顔できれいな顔したSもいました。

Sは、自分がモテることも自覚しており、就活中に集団面接で一緒になった女子大の女の子を食っちゃった、という、私には到底縁のない真似できない芸当を自慢げに話すので、私はSが苦手でした。

でもSは、あまり相手の心を読むことはできない様子でした。私はSを少し避けているのに、彼は逆に私のことをこれから同期入社する中の良い同級生と感じているようでした。何かと飲みに誘ってくるし、たまに食事すると就活の武勇伝を話したがりました。そしてB社やC社を蹴ってA社への入社を決めたことを誇りに思っているようでした。私は、A社に入ってからが勝負だし、会社のブランドが人の価値を決めるわけでもないし、彼の発言には違和感を感じながら付き合うことが多かったのです。

 

あるとき、Sは非常に怒っていました。私に話を聞いてほしいようで、近くに来たからと私の寮の部屋に上がり込んでいました。

 

彼は財布を盗まれたそうで、しかもその犯人が分かったのだと言います。

自動車学校の合宿免許で、やや大きな部屋で雑魚寝していた複数の人間の中の一人だ、というような話をしていました。

Sによると、犯人(仮にDとする)曰く、決して財布を盗む気があったわけではなく、財布がコロンと大きな部屋に落ちていたので、このままではよくないと一時保管しておいただけだと言ったそうだ。Dは、保管したのち、後で宿泊所の管理の人に渡そうと思っていたと。しかしそれをふと忘れていたんだと。

ところが、S曰く犯人(と疑われる)Dは明らかに財布を盗む意図があったんだという。

 

S:俺が管理人を巻き込んで合宿所で騒いでたからさ、Dはビビッてさ、見つかる前に出しておこうと考えただけなんだよ。サイテーだろDって奴。

 

私はそこにいたわけでもないので、Dのことを信じるとか信じないとか、そんな判断はできないので、「そうだなぁ」とあいまいな相槌を打っていた。

Sは少し興奮してこんなことを言った。

 

S:Dに聞いたんだよ。Dがどういうやつか気になるじゃん。そしたら田舎のそのあたりの高校を出たらしくてさ(合宿免許は田舎にあることが多いですね)、大学にも行ってない高卒の奴がさ、髪も染めてさ、免許取ろうとしてるんだけど、よく聞いたら無職らしいんだよ。辞めたらしい、どこかの建設会社を。で、次何をやるかも決まってないみたいだし、就職には運転免許がいるよなってなノリでさ、ずっと態度悪いし、目つき悪いし、頭悪そうなんだよね。

 

・・・

 

(しばし無言の俺)

 

・・・

 

私は、どう返事したかも覚えてないです。

 

私は、このような、人を見た目で判断し、学歴を引き合いに出して優劣を決める考えの人間が大嫌いです。私の生まれ育った田舎ではそれこそいろんな人種がいて、エリートと呼ばれるような人間は周りにいなかったので、都会育ちで私立進学校に通っていた裕福でステータスもあるようなSとはそもそも生い立ちも異なり、付き合ってきた人間の層が違うのかもしれない。

 

興奮し続けるSはそれからもこんなことを言った。

私はそのコメントを聞いて逆にSに対して怒りを覚え、もう、二度とこの男には会いたくない、心の底からそう思った。

 

そのコメントとは…

 

S:でさ、警察を呼ぶことにしたんだよ。だってDが盗ったって明らかだし、変な言い訳ばかりするからさ。

 

S:警察が来る前にDに言ってやったんだ。

「それなりに名の通った大学を出て、一流企業から内定をもらっている俺の話と、高卒で無職の君の話と、警察はどちらを信じると思う?考えたらわかるだろ。当然俺の話だよ。わかってるか?それが社会的信用って言うんだよ」

 

・・・

 

 

私は、衝撃を受けた。

こんなテレビドラマかマンガでしか聞いたことのない、完全に相手を見下したサイテーなコメントを恥ずかしげもなく吐き出している男が目の前にいる。

虫唾(むしず)走る、という感覚が少しわかった気がした。

 

私は思った。このSという男を、私の交友関係から消し去りたい。そう思った瞬間、私はSを私の世界には「完全に」存在しないものと決めた。

 

その後の、会話はよく覚えていない。

 

・・・

 

入社後も定期的に同期が合う機会はあったし、社内の同窓会的な集まりもあった。その際、Sとは期せずして顔を合わせることはあった。女子を食った武勇伝は相変わらずだ。他の女子から「本気だったのにSに遊ばれてしまった」という被害を訴える話も聞いた。でもそんなことはどうでもよい。私は、Sの顔を見るたびに、Sの声を聞くたびに、あの何かを思いっきり履き違えた「社会的信用」をちらつかせるSの言葉を思い出し、ひどく気分を悪くした。

Sと会っても、私は最低限の会話に努めた。私からSに連絡を取ることは一度もなかった。

たまにSから、「今度香港に赴任するよ」とか「ハコさんの近くに出張に行くから飲みに行こうよ」などと連絡をしてきたが、忙しいふりをして返信を遅らせたり、適当な賛辞を送ってしのいだ。

 

いまでもSの相手を蔑んだその言葉を思い出すと、悲しくやるせなく、そして怒りの感情が腹の中で湧いてくる感覚がしてしまう。何年経っても、変わらない。ましてや、Sにそんな言葉を浴びせられた当時のDは、その言葉をどのように感じ、今はどのように記憶しているだろうか。もう忘れただろうか。覚えていてもただの言い合いの一幕だったか。でも、私は、勝手ながらも、Dは相当に尊厳を傷つけられて、Sの言葉を心の奥底に刻んでいるかもしれないと、思ってしまう。僕がSの言葉をずっと忘れられないように。

何度思い出しても、「このような男が世の中にいるのだ...」というある意味驚きを隠せない。

 

私は今の事業を通じて、多様性を許容する世の中を作りたいと考えている。Sのこの言葉は、ネット社会でさらに混沌とし殺伐としてしまった今の世で当たり前に溢れかえる非道な言葉と大差ない。今の世界で人を死に至らしめることもある言葉の鋭利さを、如何に削り丸くしていくかが、終わりのない私の戦いでもある。

 

なんか最後は壮大な話になったけど、Sというクソ野郎から学んだことです。

 

てか、まじ今でも許せんわSのクソ野郎!!!!