走りながら考える~人生は長いマラソンだな~

無理な背伸びはしなくていい。嫌いなこともしなくていい。できることを仕事にしよう。できないことは諦めろ。気が進まないことも断ろう。好きなことをやろう。今日が人生最後の一日でもOKなように。

VISION株式会社との闘い⑪和解を申し出たが...

<前回までのあらすじ>
VISION株式会社の代理店だったというR社に乗り込むと、I社長と母の友人Aさんらが待っていた。ライセンスパックという商品の説明を聞いても全く納得できない。ビジネスの実態がないことにほぼ確信を持った。仮想通貨ビカシー(BKSH)の説明も支離滅裂である。もうこれ以上突き詰めても埒があかないので、話題を変えた。
私はなぜI社長がこの詐欺まがいのビジネスに手を出したのか、聞きたくなった。

 

◎I社長のポリシーを尋ねる
ハコ:なぜI社長はこの事業をやっているんですか

I社長:お客様に喜んでもらいたいから。損はさせません。これに関わったのは3年半前から。もともと私は看護師でした。看護大学の教員もしていました。たまたまこういう商品に出会った。身内から教えてもらった。最初はお金が増えればいいなと軽い気持ちで関わった。よくよく話を聞いたら、技術開発とかすごいものがあって、もう少し深く関わってみようかなと思って。そこでこの会社の事業を手伝おうと思って。私自身も当然やっています。100パック以上自分でしています。


(100パックと言えば、5000万円以上になるな。かなりつぎ込んでいるな…。もともと資産家ではなく純粋に看護師の給料が生涯収入だったとすると、預金と退職金を全額にちかいくらい突っ込んだかもしれないな)


(それにしても。肝心の説明で、「技術開発とかがものすごい」とか言われてもねぇ。すごさが判らないんだよな。おそらくこれ以上問い詰めても「ライセンスパック」という商品の実態は話してくれないだろうし、おそらくI社長も「実態がないことを知っている」または「実態を信じているが詳しくは知らない」ので、何を尋ねても無駄だろう。)

 

◎和解の申し出
ハコ:商品の説明を聞きましたが、私は海外でも9年ほど大手メーカーや商社で勤務経験もあるので、海外在住者の実情はある程度分かっています。海外で使うテレビとかカラオケとか聞いても、それだけで莫大な収益が上がるとはとても思えないのです。世界に散らばるあらゆる国籍の駐在員や出稼ぎ労働者が使うという説明も信じられないし、そもそもいまはスマホアプリ全盛の時代。動画サービスも世の中にたくさんある。カラオケもYouTubeでコンテンツはいくらでもありますから。どう考えても収益が上がる商品だとは思えません。日本のカラオケボックスのような店舗はKTVなどと呼ばれていますが、少なくともアジア各国にはたくさんあるんですよ。
ハコ母への利益はいらないので、購入分の金額だけを返してもらえないでしょうか。

 

I社長:契約自体は締結し終わっているし、毎月返す形なので、いま全額をと言われても、お返しはできない。

 

ハコ:ネット情報も鵜呑みにできないというのはよく理解しています。しかし、私はネット情報だけではなく、実際にあなたにお会いして話を聞いているが、やはりこのビジネスが長く続くとも思えない。また、母は大動脈解離で急に入院したし、この先長くないと思う。コンプライアンスというものに「投資商品ではないことを理解している」とサインをさせたり、契約は「すべて私自身の責任です」という一筆を書かせたり。私も法学部のはしくれですけど、このやり方は本当に良くないと思う。
(母の病気を持ち出してみる、というのはO弁護士と相談しながら考えたトーク

ハコ:おそらく世界のマーケットにそんなに価値を生んでいなさそうな商品であり、上場してなさそうな仮想通貨でお金があることを見せて、契約の段階で本人の全責任だと書かせる契約というのは、クロとは言いませんがグレーなものです。それをI社長はお分かりになってやっているのでしょうか?母の余命も長くないだろう今、私は最初にお支払いした金額だけを返還するという和解を申し入れたい。

 

I社長:それは私に返還してほしいということですか?

 

ハコ:はい。当時のV社の代理店であったR社のI社長、あなたにお願いしたい。

 

I社長:ちょっとそれはできません。どうぞ消費者庁なんなり行ってください。
(お、少し強めに出てきたな)


I社長:私がお金を預かって事業をやっているなら、返すかもしれない。でも私は一円ももらっていないし、契約者は私ではないし、どうぞV社が怪しいというなら、そちらのほうを、消費者庁などに行ってもらってもいいし、訴えられてもいいですが。はっきり言いますが、まだ被害は出ていないですよね?
(「まだ被害が出ていない」という一言は、悪徳商法の主体者が開き直るときの常套句ではなかろうか)

I社長:「怪しい、怪しい、被害が出るかもしれない」ということで訴えることはできないですよね。お金が振り込まれないなら契約不履行です。契約は履行されているのに、お金を返してと言われるのは心外ですよ。私自身もここのV社の顧客であるのですから。自分もやってるわけですよ。たぶんここは、あなたは息子さんとしては母親が軽はずみで契約してこうなっていると思っているかもしれませんが、私たちは本人が理解されて契約していると思っているので。理解できない人は契約できないので。本人も何パックだったらいくらになるかという問い合わせもされて、契約しているので。
私も迷惑です。他の契約者もおられるわけだし。
(結局最後は、「契約者本人の責任」論で押してくるな。)

 

ハコ:他にも新しい契約は取り続けているのですか

I社長:ないですよ!!(声が大きくなった。きつめな語調)
もうないんですからV社は!
(何言ってんるですか?って問い詰めるような口調。ていうか、お前が何言ってんだ!と私は言いたい。しかしここは落ち着いて落ち着いて…)

 

I社長:R社も私自身が会社を立ち上げていて、自分で事業をやっているんです。変な会社とは関わりませんよ。

 

ハコ:売買契約で買ったものはなんだろうか、その説明が乏しくて、お聞きしてもその商品の価値がどうしてもわからない。仮想通貨も信頼できないし。

 

I社長:毎月34万円ずつ支払っていますからね。

 

ハコ:アプリとかの商品が利益を上げているとは思えないのです。
以前はV社はWILL株式会社という名前でやってましたし、いまも会社名を換えながら新たな契約者を募る自転車操業ではないのでしょうか。新たな契約者を募ってそこから既存の契約者にお金を回していると考えるのが自然なんですよね。繰り返しになりますが、ビジネスの実態があるとは思えません。かなり疑わしいのです。価値に対して対価はお金で払われるが、その価値が見えないのです。

(ここで母の友人Aさんが発言。ほとんど黙って相槌を打っているだけだったが、ここで満面の笑みで話し始めた)


Aさん:ぜひ信じてください。私は逃げも隠れもしません。住んでいるところも変わりません。お母様とは長い付き合いです。毎月お支払いします。


(完全に洗脳されているAさん。あなたがある日突然「すみません!ビカシーが換えられなくなって…、また来月確認しますから、必ず換えられるときが来ますから…」と半泣きで母に謝る姿まで想像してしまったよ、申し訳ないけど…)

 

つづく 次回がこの面談の最終回です。長くてすみません....。